2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧
多くの人が多少なりとも「人生をやり直したい」と思っている。だから、現実の制約や生きづらさを超えてやり直したいという願望を満たしてくれる「異世界転生・転移もの」のアニメや漫画がブームなのだろうと思う。特に、「悪役令嬢もの」は、破滅フラグとい…
南海トラフ地震の発生確率は、「20~50%」と「60~90%」の両方を併記した長期評価になったそうだ。今後は、発生確率別に、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのランク表記をするそうだが、これではますます、何のことだか全くわからない。それぞれ、単純平均モデル、新モデルとしてい…
『ミニシミテ』 田中 泯 講談社田中 泯さんの『ミニシミテ』を読んでいて、印象に残った文章は、“動作に現れる心を読む”の中にあった。部屋の窓を誰かが開ける、という状況を想定した時、その動作を表現する言葉として、「忙しげに、荒っぽく、突然に、ゆっ…
小走番外地 銭湯のポスター銭湯の前を通りかかったら、「網走番外地」のポスターらしきものを見かけ、こんなところになぜ!と思ってよく見たら、「小走番外地」とあり、任侠らしき人が、「走るのはお控えなすって」と言っていた…。なかなかよくできた銭湯用…
ファクトチェックの定義や信頼性が揺れている、とよく聞く。どんなふうに揺れているのかを探ってみた。探る前にひとつの問いを立ててみた。「完全に中立・無謬な情報源は存在しないのか、存在するのか?」という問いだ。これに答えるため、という方向で、揺…
旧統一教会の総裁が逮捕されたニュースを見て、思ったことを記す。逮捕理由はさておき、カルト集団とも呼ばれる旧統一教会が行ってきた行為の一部分は、霊感商法などと言われている。それは人の心の闇や弱点につけ込む行為ともいえるが、日本の伝統仏教集団…
お墓参りをしながら、こんなことを思った。現代の追悼文化は、伝統的な葬送儀礼が希薄化・形骸化する中、SNS上に新しい「共同の死の場」を生み出している。たとえば、追悼ハッシュタグとかオンライン墓地とかAI供養とかデジタル人格レプリカなどだ。それらを…
まったく初めて聞いた言葉―「涙活」について、探ってみた。涙活とは、意識的に感情を喚起し、「涙を流す」ことを通じて、ストレスや悩みを軽くしたり、心をリフレッシュさせたりする活動のことだそうだ。おもに「感動させる映像・朗読・音楽・過去の想い出」…
水木しげる先生の漫画に「魂の天ぷら」なるものがあったことを、ふと、思い出したのだが、これは秋分の頃における一つ目の意義に結びつくように思う。それは、お米などの自然の実りという恩恵を感謝とともに受け取る時節であるとともに、内なる魂の力を滋養…
惑星の衝 国立天文台今は、土星が地球と太陽の間に位置し、最も明るく見える時期である。土星が地球から見て太陽とちょうど反対側になる瞬間のことで、衝の前後の時期、土星は、日の入りの頃に東の空から昇って真夜中に南中し、日の出の頃に西の空に沈む。と…
勇気論 内田 樹 光文社内田樹氏の『勇気論』を読んで印象に残ったのは、スティーブ・ジョブスの発言の引用で、それは「最も重要なのはあなたの心と直感に従う勇気です。心と直感はあなたが本当は何になりたいのかをなぜか知っているからです。」という言葉だ…
若いどんぐりお墓参りに行ったら、近くにクヌギらしき木があり、まだ青いどんぐりがなっているのを見つけた。こんな風になっているのか!と珍しい光景に心が何か動かされるように感じ、思ったことを書く。どんぐりも葉っぱもそうだが、生命の個体は一つとし…
ヨガやマインドフルネスや座禅など、瞑想によって心を鎮めることが今、ますます必要になっていると感じるが、生き抜くことに精いっぱいの人は、忙しさもあって、そういうことには見向きもしないと思われる。特に、精神の豊かさよりお金、と思う人はなおさら…
日本仮面歴史館伊豆熱川に日本仮面歴史館という仮面だけの博物館があり、取材がてら見学に行ってきた。館長から色々お話を伺って、日本古来の祭りの意義や宗教的な意味合いなどを勉強してきた。この歴史館に展示されている1000を超える面は、すべて館長みず…
祈り、瞑想する姿かたち旅先のみやげ物売り場で、人間にしかできないことを動物がしているフィギュアをはじめて見た。思わず惹きつけられ、買い求めてしまった。この姿を見ていると、単なるかわいさや奇抜さだけではなく、深い文化的・心理的な要素が働いて…
石像ふたつ少し遠くまで足を延ばし、散歩していたら、公園でこんな石像を見つけた。なんとも可愛らしく、写真をとっておいたのだが、二つの像を見ていて、『超訳 ニーチェの言葉』で有名な白取春彦さんの『愛するための哲学』を思い出し、色々と考えてしまっ…
日本の「敬老の日」は、国家的に公的祝日として制定されているが、外国では「家族・コミュニティでの感謝」が中心で、国の祝日としている国はほとんどない。この違いはどこから来るのだろうか?まず、外国などではどういう日があるのかを調べてみると、国連…
「さまよえるオランダ人」 東京二期会ワーグナーのオペラ「さまよえるオランダ人」を観てきた。このオペラのモチーフは、ごく短く言うと、「船長が神を冒涜し、永遠に海をさまよう呪いを受けるが、真実の愛によって救済される。」というものだが、人類の魂が…
三者とも「悪役」「ずる賢さ」「人間の影」を体現していて、似ているなと思って考えてみたのだが、そのあり方はやはり、かなり違うように感じる。ばいきんまんは、根っからの悪ではなく、失敗しても憎めず、どこかユーモラスで、人間の中の「欲望」「わがま…
作 やなせたかし フレーベル館アンパンマンの「顔を分け与えて他者を生かす」という自己犠牲の精神は、古典から現代に至るまで繰り返し描かれてきたテーマだ。自身を糧として他者を生かすというモチーフは、キリストの「パンと葡萄酒」、お釈迦様の前世譚の…
「今ここに生きる」という言い方は、哲学や詩、宗教において繰り返し説かれる。禅などはとくに強調している。「今ここ」について、ちょっと疑問に思ったことがあるので、自分の経験を踏まえて考えてみた。「今ここ」こそが大切なのだ、という考えは、もっと…
恩師の高橋巖先生がよくおっしゃっていた言葉が、「わかってしまうと縁が切れてしまいます。」というものだった。難解な本とか理論、自分と違う立場などをすぐにわかってしまうと、もうそこから離れて、次に行ってしまい、もうそこに戻ってくることをしなく…
内田 樹氏の講義で、「ある論理で勝つとそこから抜けられなくなり、それは怖いことである」といった趣旨のことをおっしゃっていた。ほかにも多くのテーマが語られる中、これはどういうことなのかと深掘りしてみたくなった。「勝つ」という言葉でまず思い出し…
日本の雅と題した、香りの展覧会に行ってきた。香木や香道に関する品々や近現代の香水瓶など、日本の香り文化全体を見渡せる展示だった。珍しい香箱、香炉、香合に加え、希少な香木も展示されていたが、ガラスケースに入っていて、嗅ぐことはできなかった。…
國學院大學の博物館で、アイヌ文化に関する展示を見に行ったのだが、アイヌ文化への強い関心をよそに、常設されていた折口信夫の再現された書斎やらその生涯を映したビデオ映像やらに心を引き寄せられてしまった。折口信夫は「言霊」という古代日本の観念を…
この夏、オープンカレッジで華厳経と涅槃経の講座を受講し、集中的に勉強した。華厳経の要点は、「一つの存在の中に全宇宙が映り込んでいる」、「人・動物・植物・鉱物・山河大地すべては相互につながっていているからこそ存在できる」、といった点にある。…
鳥人間コンテストには、相反する二つの側面があるようにおもわれる。ひとつは、技術・記録・賞金と言った面で、もう一つはただひたすら打ち込む情熱と協働により、人と人との共同体を強く形成していく面だ。一面には、工学的な創意工夫、航空力学の研究、素…
電通が行った「対話型AIとの関係性に関する意識調査」によると、感情を共有できる相手は?という問いに対して、次のような結果が出ているそうだ。対話型AⅠ 64.9% 親 友 64.6% 母 親 62.7%ただし、調査対象は、対話型AIを週1回以上使用する全…
『崖っぷちの自我』扶桑社だいぶ前のことだが、自我野さんが書かれた『崖っぷちの自我』というまんがに大変衝撃を受けた。“自我野さんは、プロの漫画家を目指して上京し、アルバイトで生計を立てながら漫画を執筆するという、まさに“崖っぷち”の毎日を赤裸々…
エジプトの「死者の書」 河出書房新社むかしむかし、大学で「エジプト考古学概論」を吉村作治先生や近藤二郎先生に教わった記憶がよみがえり、ツタンカーメンの展覧会を見に行ってきた。 若い時から様々な死生観に興味があったが、今でもそうだ。ふれこみは…