人智学的つれづれ草

日常の体験と人智学で学んだことを結びつけ、広げます。

シルクロードの遺宝を学ぶ

シルクロードの宝

シルクロードの古代遺跡の宝を学ぶ講座に参加しているのだが、その中にソグド人が作ったとされる陶器で、“オスアリ”と言われている納骨器に目がくぎ付けになってしまった。

ソグド人は、中央アジア・サマルカンド周辺のソグディアナに住んでいたイラン系民族で、シルクロード交易に大きな役割を果たしたそうである。死後には独特の陶製の納骨器を用いた埋葬が行われたようだ。

この写真は、家屋形の納骨器のふたの部分で、手に枝を持って向き合う女性は太陽と月の冠をつけており、上部には月と太陽のモチーフが見られる。1400年くらい前のものとされている。

考古学では、死者の霊魂を外界から守り、また外へ漏れ出さないようにする呪術的・宗教的意味を持っていたという説があるようだが、死者と月と太陽と、と聞くと、どうしても人智学の考え方を思い出してしまう。

ソグド人は交易民だったので、信仰も多様で、ゾロアスター教・仏教・マニ教・キリスト教ネストリウス派、さらに中国に定住してから道教や中国的宇宙観の影響も受けているそうだ。

ゾロアスター教では、宇宙は「光と闇」「善と悪」の二元対立の場で、太陽は「アフラ・マズダ(光の神)」の秩序を表すという考えで、月も神聖視され、死後の魂が通る「光の道」を示す。つまり、骨壺に太陽と月を描くのは、死者の魂が宇宙秩序の中で正しい方向に導かれるようにという祈りを表現していると思われる。

中央アジアや中国に定住したソグド人は、死後の魂が「星々や天体をたどって霊界に上る」という観念を持っていたようだが、この観念が人智学の認識とまさに一致している。

太古の月では、光と闇・善と悪の対立が生じ、のちのカルマや苦悩の根源が形成された、とされる。また、「太陽的なもの」とは、愛・中心・統合の象徴である。人智学では、人間は「月的なもの」(習慣・業・過去に縛る力)を克服し、「太陽的なもの」(愛・自由・未来へ向かう力)に目覚めていくことが使命とされる。

また、人は死後に月の領域と太陽の領域を通っていくが、それには大切な意味があるという。月圏では欲望や未練を抱えた魂が、地上生活での行為・感情を清算する領域とされ、太陽圏以降では魂が宇宙的存在(霊的階層の存在たち)と共に、次なる生を準備する領域とされる。

この両者を経ることで、人間は「自己の過去を背負いながら、未来を創造する霊的存在」として進化していく、という認識を人智学ではする。

オスアリには、ペルシア高官の生涯が婚礼・狩猟・病気・死の4つの場面で描かれており、仏教でいう生老病死と同じだ。

来週の満月には、気持ちを込めてお月見ができそうである。