人智学的つれづれ草

日常の体験と人智学で学んだことを結びつけ、広げます。

2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

恩師の一周忌に想うこと

高橋巌先生が旅立たれて1年になる。先生の写真を見ていると、透徹した目をしながら、穏やかに話された姿を思い出す。講義が終わると、いつも心が温かくなっているのを感じ、何か人生や認識に対する勇気をいただいていたという思いが強い。 人智学の徒として…

分業社会の中で暮らしていくということ

フランスの社会学者であるエミール・デュルケームの『社会分業論』の講義を聞き、読んでみたので、感想と思い出したことを書く。 関心を持った部分のひとつは、「個人はたくさんの人と広く結びついて依存しなければ、食事をすることも、服を手に入れることも…

ぎっくり腰の今日

ぎっくり腰をやってしまってどこへも行けず、終日家で過ごした。 今日やったことと言えば、 ・生涯学習講座の企画書の草案を一つ書き、人類学の先生に送信したこと。 ・テレビの録画 「ヘーゲルの精神現象学 第三回」を見たこと。 ・旧制灘中学校の教師だっ…

「現実検討能力」が大切という話について

ここのところ、「地下鉄サリン30年」という新聞記事が続いていて、その経緯が詳細に振り返られているのだが、「心理学の視点」というコーナーで、この「現実検討能力」という言葉を初めて聞き、正直あきれた思いがした。 あきれたのは、ただ私が、その言葉じ…

彼岸の入りで思い出したアメリカの経済紙のこと

少し前になるが、“Forbes JAPAN” (米国で発行されている経済雑誌の日本版)に、“故人との「死後のコミュニケーション」”に関する記事があったのを思い出し、確認してみた。<死後のコミュニケーションを体験する人たちがいるものの、自分の体験を批判・誤解さ…

サル山の改修法は都会人の改善にも役立つ?

「サル山を自然に近い環境に改修し争い半減」のニュースを聞いた。 東武動物公園で、サル山をより自然に近い環境にしたところ、サルどうしの争いが半分以下に減ったという。麻布大学獣医学部の研究チームの研究成果だそうだ。 1つだったサル山を2つにした…

合成香料について思ったこと

>改訂版 ポスター 私が今、課題として捉えたいのは、食品や飲料に含まれる合成香料のことだ。“何々風味”、“何々味”のような表示をよく見かけると思う。例えば、スナック菓子、ジュース類、アイスクリームやチョコレートやバターはもちろん、常食する食べ物で…

「100%の悪役を目指した」俳優について

あるベテラン俳優が、「どうすれば悪役が酷く見えるか、腐ったやつに見えるかを追求していました。」と書いていたのを読み、この人は誠実な人なのだなと、すぐに思った。この人は、その後、悪役に“磨き”をかけたようで、「俯瞰したときに自分の役が悪に見え…

日本人智学協会の代表だった高橋巖先生のこと

今週のお題「思い出の先生」 高橋巖先生との出会いは、書店から始まった。目的の本があるわけでもなく、ふらっと立ち寄って、何となく書店内を歩いていたら、「ここで止まれ!」と言われた気がして、立ち止まり、目の前に積まれていたのが『アカシャ年代記』…

「風の電話」はどこにでもある

東日本大震災以降、整備が続けられている「風の電話」には、五万人以上の方が訪れているという。多くのメディアで紹介されたあの「風の電話」だ。電話機の横には、“風の電話は心で話します 静かに目を閉じ 耳を澄ましてください 風の音が又は浪の音が 或いは…

備蓄米の放出の話題で、全く関係のない「備蓄」を思い出したこと

お米の高騰でとうとう、備蓄米の放出が始まるようだ。お米の値段が下がるならこんなに良いことはないと思うのだが、「備蓄」という言葉だけにとらわれて、人智学で言われたあることを思い出してしまった。それは、“勇気の備蓄”という考え方だ。 人智学では、…

仏教者に関するシンクロニシティ

最近、立て続けに同じ視点の情報を三回、目や耳にしたので、これは共時性の現れではないかと妙に思い、記しておきたい。 それは、いずれもあくまで、「最近気になる事」レベルの話なのだが、話をされている方は、僧侶が二人、葬祭関係者が一人という構成にな…

土地は本来誰のもの?

毎年三月半ばになると、土地の公示価格が発表される。土地を所有されている方は、気になるかもしれないが、私の関心は、「土地は本来誰のものなのか?」という、疑問にある。一般的に、土地が商品になったのは、17世紀のヨーロッパと言われ、封建制度から資…

AI化する宗教って何?

新聞のコラムに「AI化する宗教」とあったので、少し疑問を抱いた。その概要は、「ブッダボットプラス」という名の生成AIの英語版が、ブータンの仏教界に導入されることに“驚いた”というものだ。これを書いた方は、「人は機械に教え導かれ得るのか。」と問う…

「ジジ抜きとジジ入り」に期待していいか?

>王様というジョーカー ジジ抜きで、周辺諸国やEUが手を組もうとする可能性に触れており、また、今起こっている大きな二つの戦争を決着させるかもしれないジジイパワーのことにも言及している。「ジジ抜きで国々が仲良くなり、ジジ入りで二つの悲劇が終焉に…

日本顔学会という会に入って

>『顔の大研究』 丸善出版 HPのキャッチフレーズはこうだ。 “顔に関心がある人なら,誰でも会員に!” 今はもう無いようだが、初めに「当会は趣味の団体ではありません。」とも表記してあったことを覚えている。現在の案内は、「既存の学会では考えられなかっ…

「仏教とボクシング~殴り合いの身体論」に参加

ボクサーの文化人類学者と、身体論に造詣の深い禅僧が語り合うという催しに参加してきた。紹介文の一部の文だけ抜粋すると、人類学者の先生は、「~拳で殴るのは、直立二足歩行で手が自由になったその身体的特性ゆえに、きわめて人間的な暴力である。~」と…