人智学的つれづれ草

日常の体験と人智学で学んだことを結びつけ、広げます。

合成香料について思ったこと

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改訂版 ポスター
<少し前、「香害」問題がよく取り上げられていたが、近ごろはあまりお目にかからない。柔軟剤に含まれる人工香料とマイクロカプセル(プラスチック製)は分解されにくいため、6割以上が土壌や河川・海に流出するという事実が問題視され、このようなポスターまで作られた。
私が今、課題として捉えたいのは、食品や飲料に含まれる合成香料のことだ。“何々風味”、“何々味”のような表示をよく見かけると思う。例えば、スナック菓子、ジュース類、アイスクリームやチョコレートやバターはもちろん、常食する食べ物でも、本物の代わりに、それ風の味がついているものもある。
人工香料は、しばしば合成化学物質を使用しているため、過敏症の人々やアレルギーを持つ人々には影響を与える可能性があると言われている。しかし、通常は規定された安全基準内で用いられているという話だが、本当に安全なのだろうか?
人工香料の種類は、甘い香りやフルーティな香りを持つエステル類、バニラの香りを再現するためのエチルバニリン、リンゴやバナナの香りを模倣するためのエチルアセテート、花やフルーツの強い香りを持つアルデヒド類、レモンやライムの香りを思わせるシトラール、ジャスミンに似た香りを出すベンジルアルコール、香りの持続性を高めるために使われるフタル酸エステル類など、その他書き切れないほど多くの香料がある。
“一般的”には、また人工香料業界では、安全と主張されているが、一部の香料成分は、長期間の高濃度での摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性も指摘されている。香料アレルギーや内分泌かく乱物質、ホルモンバランスに対する悪影響、神経毒性などの比較的短期間の研究はあるが、何年も何十年も食べ続けた影響を調査研究したデータは見つからない。
多くの国や地域では、人工香料に関する規制が存在し、香料として使用される化学物質に関して厳しい基準が設けられているという。すべての食品香料が「ネイチャーアイデンティカル」(天然物に含まれている成分と同じ化学構造を持つもの)であるわけではないので、規制が作られたのだと思う。天然ならすべて問題ないというわけではないが。
日本には、香料に関する法律等が30ほどあり、そのほかにもガイドラインや規制が存在するが、やはり長期間での使用に関しては、あいまいなところがある。長期的な影響は「わからない」というのが、本当の所だと思う。香料に限らず、「わからない」ことを毎日しているような気になってくる。さあ、エチルバニリンの入ったおいしいアイスクリームでも食べて、一服しようか…。