
今日、上野公園で桜と梅をいっしょにみた。弁天堂と五條天神社でのこと。不思議な感覚をおぼえたのでカメラにおさめたが、散文的な説明ができないので詩らしきものを残す。西高東低の気圧配置で、北風の強い日だった。めったにないことだが、帽子を飛ばされてしまった。
〈同じ日の花〉
朽ち始めた寒桜は
役目を終えた私、
名残のわたし。
涸れて枯れ
少しだけ、香りなく
咲き残っている。
まだなのか
もうなのか
この花弁が
全部落ちたなら
そのあとの世界には
席があるのだろうか
静かに
軽くなっていくだけなのか
意味を脱ぎ、名前を脱ぎ
今回の人生という輪郭を
手放そうとしているのか
得たものは
返さなくてはならない
風が吹いてきた
それは
この世の風か
向こうの風か
咲き始めた梅がひとつ
まだ名も知らず
初めての声をあげて、
香りもいっしょに。
硬い蕾を破った白は
生まれたばかりの皮膚のように
世界の冷たさも
意味もまだ知らない
白はまた
降りてくる光のようで、
「これから」を
まったく疑っていない
寒桜と梅のあいだで
わたしの魂は
一人で立てる場所を
覚えておけるのだろうか
離れていく魂と
降りてくる魂が
すれ違う場所に
私は今日立っていた