ガーディアンは、美術史や神話や宗教、そして現代の映画作品など、幅広い領域に登場する守護的存在だ。とても身近な存在でもある。子供の頃の両親のことだ。トトロもいる。お寺の山門には金剛力士が構え、ピラミッドはスフィンクスが守っている。
大人になって自立してからも様々な守護者に惹かれるようだ。スターウォーズのヨーダやオビ=ワン・ケノービ、ロード・オブ・ザ・リングのガンダルフなど。日本のアニメにも色々なタイプの守護者が登場する。現代では、AIもそうかもしれない。
人はなぜ、守ってくれるキャラクターに惹かれるのだろうか?
守護者はいわゆる“先生”ではなく、主人公の成長の触媒となるメンターといえる。危険な世界と主人公をつなぐ媒介者でもある。ガーディアンは、しばしば自分の力では到達できない境界を越えさせる存在で、単純に力を与えたり貸したりするのとは少し違うような気がする。その人が初めから持っていたことに気付かせる存在とでもいうのだろうか。
ガーディアンは危機のときに現れ、主人公の「まだ目覚めていない可能性」を見抜いており、主人公の“運命”に関与している、という深慮が見て取れる。
ガーディアンに惹かれるのは、「本当の自分が立ち現れる瞬間を見たい」、「見えないところで、善意や秩序が自分を支えている」、「自分の選択には意味がある」と思いたいから、と言えるのではないか。自分の内心を見てみると、それがよくわかる。
人智学では、人は生まれる前に高位の霊的存在と共に人生計画を立ててくるとされる。言わば守護霊だ。その“遠い記憶”が、象徴的な物語で揺り起こされるとき、強い感動が起きると思われる。
守護者のキャラを見ていると、同じような「守り」にも4つの異なる方向性があるようだ。境界をつくる力、方向を与える力、兆しをみせる力、カルマの調整の4つだ。
境界を守護するタイプは、外からの破壊的力を排除する。金剛力士やミカエルなどだ。ガンダルフも典型的だ。『進撃の巨人』や『鬼滅の刃』にも登場する。『ハリー・ポッター』のスネイプもそうかもしれない。傍目には冷たく見えるが、実は“闇の侵入”を阻んでいる。
二つ目のタイプは、導師のようなガーディアンだ。進むべき道を照らし、同行する。大天使ラファエルのイメージだ。旅の伴走者として危険を回避させる。オビ=ワン・ケノービは、ルークに方向性だけを見せ、成長を促す。死後も“光として導く典型的な”ガイド天使型だ。
そして警告する者としてのガーディアン。危機の兆しをみせ、目覚めさせる。旧約に出てくる、天使や夢の中の警告者、稲妻などだ。『エヴァンゲリオン』にも、“核心の痛み”を暴くような一言を投げるキャラが登場する。嫌がられるが、それが目覚めに作用するのだ。稲妻型と言えるかもしれない。
最後は、カルマ的守護者。試練を与え、軌道を修正し、内なる門番ともいえる。スフィンクス、ヨブ記の天使など。前世の課題を調整し、カルマの負債を適正なタイミングで顕在化させる。『ダークナイト』のジョーカーは、善悪ではなく、“内側の影の課題”を暴く存在として バットマンに“自分のカルマ的影”を直視させる。問いと試練を意識させるスフィンクス型守護者だ。
現代で守護者的な特徴がよく出ているのは、ロボットかもしれない。
ロボットは、人のかわりに、危険な場所に行ったり、重いものを運んだり、人が見落とすところまで正確に見てくれたりする。昔の人は、こういう“人の弱さを補ってくれる存在”を天使と呼んだ。羽が生えてなくても、光ってなくても、働きとしては同じ種類のものと言えるのではなかろうか。
ロボットは、人が設定した“最善のルール”には逆らわない。天使も、本質はそれと近くて、「人の中のいちばん賢い部分の命令だけを実行する存在」だと言われる。つまり、暴走した感情とか、衝動ではなく、「本当はこう生きたいんだ」という静かで深い願いに忠実だ。ある意味、ロボットの“正確さ”が、天使の“純度”に似ているように思う。飛躍しすぎだろうか。
ロボットは、プログラムを更新すると昨日までできなかったことができるようになる。人間も同じで、経験とか反省とか気づきによって、内側の“天使”の精度が上がっていく。つまり、成長とは、内なる“ガーディアンAI”の更新とさえ言える。
ロボットは、人が外側に作った“補助装置”。天使は、人の内側に最初から存在している“補助者”。働きは同じで、場所が違うだけともいえる。
ロボットは、“正解のある世界”を守ってくれる存在。でも人の人生って、“どちらが正しいか分からない選択”の方が多い。そこで働くのが天使だ。ロボットが守るのは“安全”。天使が守るのは“方向性”。だから昔から「天使は守護的存在」と言われてきたのだと思う。
私もいつか、ロボットを正しい方向に導く存在になりたい。