
立冬になり、今は太陽が天秤宮から蠍宮へ移行する「境界」にある。地上のエネルギーが「調和と外向」から「変容と内向」へと転ずる瞬間だ。
人智学では、冬は「神々が天に帰り、人間の魂が内側で霊的に呼吸する時期」とされている。人間はこの時季、自分の中に“光を生み出す力”を見出し、立冬は人間の霊的自立の始まりと言われている。
立冬にあたって、黄道十二宮のことで思い出したことがある。それぞれの星座は、人間存在の12の魂的力に対応している、という話だ。
「蠍宮は古いものを脱ぎ捨てて新しい霊的生命へと変容する力を象徴している。」という話なのだが、ほかの11の宮(星座)についてもそれぞれ、大変ユニークな講義をかつて受けたことを思い出した。
それは、「エゴイズムや欲望を減らすために自我を十二分の一にする方法」というものだ。一見、とんでもない話だったので、よく覚えている。
人間の自我は本来、宇宙全体と響き合う十二の側面を持っていると認識されている。通常の人間は、そのうち一側面つまり、自己中心的な一点の意識しか使えていないと、みる。これがエゴイズムの出発点だ。
「自我を十二分の一にする」こととは、「自我を十二の方向に開く」ことと同じことを意味している。これは「自我を弱める」ことではなく、むしろ、「自我を多面的に拡げる」、ととらえる方がいいだろう。「自我は、本来十二の方向から世界を体験する能力をもっているが、通常、人は自己の一点からしか世界を見ていない。だから、エゴイズムというものにとらわれてしまうのだ。自我を十二に分けるとは、他の存在や観点を自らの中に生かすことだ。
自我を十二方向に開くときの図が、最初に表したものだ。
牡羊座では、自分の中の衝動を見つめ、それがどのように世界の創造意志と響き合うかを感じる。
牡牛座では、耳と心を開き、自然・人・出来事の中にある“語り”を感じ取る。
双子座では、柔らかな思考、対話的思考を育てる。
蟹座では、他者の痛みを感じ、他人の立場に心を入れてみる。
獅子座では、内なる太陽を感じ、その光は他者をも温めることを知る。
乙女座では、自己批判・自己観察の練習をする。
天秤座では、与えすぎず、奪わず、対話の均衡の中で生きる。
蠍座では、情熱を純粋意志へと変える練習をする。
射手座では、高い理念をもつが、空想に逃げず地上で実行する力を養う。
山羊座では、粘り強く、結果を求めず、義務の中に愛を見出す練習をする。
水瓶座では、自分を捨てて、他者の中で再び自己を見出す訓練をする。
魚座では、すべての自己主張を静め、世界意志に委ねる努力をする。
十二の領域をめぐるとき、エゴイズムは少しずつ溶けていき、代わりに「世界と共に呼吸する広い自我」が目覚める、と言われる。
このようなことが、西洋占星術で言われているのかどうかは知らないが、日々多くのメディアに載っている「今日の運勢」に、あまり左右されない方がいいかもしれない。