
これは絵本『極楽』にでくる言葉だ。シュタイナー研究者で翻訳者の西川隆範さんが書かれたもので、絵本の最後は、「たのしいときも、つらいときも、わたしたちはあなたといっしょです。わたしたちは、いつも、あなたをおうえんしています。」という、ほとけさまの言葉ででくくられている。
この極楽の絵本は、かなり売れたようだが、なぜなのだろう?
子どもに受けた、というのはとてもよくわかる。子どもは大人よりも「霊的世界の感受力」が強いからだ。人智学では、子どもは“まだこの世に来たばかり”と言われる。極楽を出たばかりなのだから、絵本のイメージは、懐かしいに違いない。絵本の極楽のイメージは、この感受力に直接訴えるため、理解や共感がしやすいといえる。
子どもが絵本で見る極楽は、単なる幻想ではなく、魂の奥深くに働きかける霊的教材のような役割を果たす。絵本の極楽は、美しい絵、安心・安らぎ、死後世界の秩序という形で表現されており、子どもは自然とこれに惹かれる。ここでは仏教の難しい理屈はいらない。
子ども自身の感想もいくつか研究や観察からわかっている。以下のようなものだ。
「怖くない」「楽しい」「光ってきれい」など、絵本を読んだ後に心が温かくなる感想が多い。幼児は極楽のイメージを「自分もそこにいてよい世界」として受け取っている。「動物や天使が友だちみたい」といった感想は、子どもが極楽の登場人物や生き物と感情的につながろうとしていることを示す。「わたしも光の中を飛びたい」「花畑で遊びたい」といった遊び心あふれる感想もある。また、「おじいちゃんもあそこで安心してるかな」「死んでも寂しくないのかな」といった感想も。
大人である親も一緒に読んでいるはずだが、子供のように素直に受け止めているのだろうか?極楽をでてからだいぶ年月がたっている。世の中の現実に染まっているとしたら、ほとけさまの言葉を「子どもだまし」と思うだろうか?
「極楽」というテーマは、死生観や死後の安らぎへの願望に直結している。現代社会では不安やストレスが多く、死や苦しみの後にも「安らぎや救い」があるという物語は、大人にとって意味のあるものになっているのだろうか?
仏教や神話的な極楽のイメージは、日本文化において古くから親しまれており、馴染みがある。親子での体験価値がうまく合致したから、売れたのだろうか?日々の生活を生き抜くのに忙しい親御さんと、天使のように素直な子供さんに何か共通点があるに違いない。