>
天空上で、はるか彼方のペルセウス座の方向から放射状に飛び出すように見えるために、この名がつけられているので、彗星のちりとは直接関係は無いように思われるが、彗星の本質を考えると、全くつながりがないとは言えないところがある。
メデュウサを退治したギリシャ神話の英雄ペルセウスと結びつけられた星座だが、その方向に見える流星群は、天文学上では、「母天体のスウィフト・タットル彗星は直径約26kmと大きく、地球軌道に接近することから潜在的に危険な彗星に分類される。」と認識されている。
「毒物」について、自然科学の成果をひとつ。最初に彗星の尾や核周辺にシアン化合物が含まれると検証されたのは、1910年のハレー彗星の接近時のことだそうで、シアン化合物が有毒であるとの誤った恐怖が引き起こされ、“大気中に毒ガスが充満するのでは?”というパニックにもつながった。
最近の研究でも、2019年には、恒星間彗星でもシアンガスの検出が報告され、彗星成分の共通性が示されている。
シアンガスは、一般的には毒性はある、と言えるが、流星群通過の現象はあまりに遠く離れた出来事なので、もちろん地球には影響はない。物理的に化学的には、である。
メデュウサを退治したペルセウスという神話、そして彗星の化学成分から何を学ぶことができるだろうか、と考えていたら、シュタイナーも彗星について言及していたことを思い出した。
シュタイナーは、彗星を単なる天文現象としてではなく、地球や人間の霊的進化に関わる力をもつ存在として語っており、「彗星は宇宙から道徳的・精神的な性質の新しい力を地球にもたらす」とも述べている。個人や民族、さらには地球全体に蓄積された破壊的・不調和な力を、彗星の接近によって“掃除”できるといった趣旨のことも言っていた。この点は、彗星が地球にとって「毒素の解毒装置」のような働きをするという比喩で語られている。
解毒とシアン、掃除とほうき星、退治されるメデュウサ。自然科学、人智学、神話が、すべてがつながった感がある。
中世や古代においては、彗星は戦争・疫病・革命の兆しと結びつけられたが、シュタイナーはこれを「迷信」と一蹴せず、「その時代の人間意識の状態に応じて彗星は象徴的役割を果たす」と説明している。つまり、彗星は不吉な現象そのものではなく、人間社会の中にすでにある潜在的な混乱や転換期のエネルギーを顕在化させるトリガーになり得る、ということだろう。
ちなみに、魂的霊的世界では、物理的な距離は問題にならない、とされる。送り火は、儀式としては必要だが、精神上では必要ない。死者は、いつもそばにいるのだから。