自分の生まれた干支や星座を意識する人も多いかと思うが、誕生年・誕生日を基準に考えている方がほとんどだと思われる。また、その基準により、西洋にも東洋にも、古代から非常に多くの「占い術」が存在し、個人の性格・宿命・運勢などを占ってきた。
誕生の瞬間から赤ちゃんの肉体と精神は、その時の星の力や配置からの影響や、地上の諸環境からの影響を受けることになる、ということは確かにあると思われる。
一方で、人が様々な影響を受け始める基準を、受胎日とする考え方もあり、「数え年」によって占ったりするのがその例だ。干支や陰陽五行も、命が「この世に生まれ出る瞬間」を基点にするのが一般的のようだが、実際には古来より、「宿命はすでに母胎の中で始まっている」という思想も存在する。たとえば、胎教の考え方では、「胎児にも感情や意志がある」とされる。ある意味では、すでに一人前の人間だという見方だ。世の妊婦さん方は、そのように思い、気を使っているのではないだろうか。
一般的に人は、平均して妊娠後280日(40週)で誕生すると言われている。専門的には、正確に把握するのは難しいのかもしれないが、およそそれくらいだとして、まず星座のことに当てはめてみた。
ある人が8月10日生まれだったとしよう。獅子座生まれということになるが、受胎日は、おおよそ前年の10月末から11月初めころという計算になる。その時期は、さそり座なので、星座占いによると、そのさそり座の特性も考慮しなければならない、ということになる。
誕生日の星座の諸特性が気になる方は、「私はもう一つ星座を持っている」と考えたらどうだろう。自分の人生に広がりが感じられないだろうか。
干支の場合は、そう単純にはいかない。東洋では、一年の起点を冬至とする考え方があり、12月21日から22日頃である。また、一年の切り替わりを立春とする考えもあり、いつから年が変わるのか、諸説ある。
個人個人の誕生年・受胎年・受胎日で判断することになるが、例えば巳年の8月10日生まれだったとしよう。そうすると、受胎した時は辰年ということになる。つまり、辰年の特性も併せ持つということになる。ただし、社会的には、受胎起点という考え方は浸透していないので、「私は巳年で辰年です」と言っても中々通じないだろう。
干支のばあい、例えば年末生まれだと、受胎もその年ということになるので、ふたつ干支を持つというのは、すべての人には当てはまらない。
ちなみにシュタイナーは、「魂は受胎の前から新たな人生に向けて降りてくる準備を始める」という主旨のことを言っている。“降りてくる準備”という言い方には、きっとなじめないと思うが、人智学は、転生を前提にした精神科学なので、そういう言い方になる。宇宙のリズム(星の配置や天の意志)と合致して受胎が起こるとされ、受胎日は、肉体の誕生日と比べて、計画性が高いものであると認識している。
誕生日は、「この世の物質世界に姿形を現す日」であり、受胎日は、「魂が宿る日」と言えるかもしれない。誕生日だけでなく、受胎のタイミングを含めて多層的に人間を読む視点は、今後ますます重要になると思う。