新聞の書評に“おとなの悩み、おこさまたちにきいてみました”というタイトルが目に飛び込んできて、思わず読んでしまった。こんな風にはじまる。
「人は大人になるにつれ、さまざまなことを学び、体験を重ね、あらゆる場面で適切な対応ができるようになり、人生の悩みから解放される…。なんてことはないのは、自分を思い出せば明らか。」
この本は、WEBで小林エリカさんが連載していた「おこさま人生相談室」を書籍化したものだ。“おこさまたちからから出てきたのは、目から鱗の回答の連続でした。”とおっしゃっている。
ますます興味がわき、その内容を読んでみたので、いくつかご紹介したい。大変な分量なので、ほんの一部を抜き出したものになる。
1 相談(22才)
「わたしは今新しいお仕事を始めたばかりで、そのお仕事はとてもたのしく前からやりたかったお仕事ですが、わたしには向いてないのか、ミスばかりしてしまい最近いやになっています。前のお仕事はたのしくなかったですが、わたしに向いていたのか、仕事は順調でした。これからどうすればいいでしょうか?」
回答(7才)
「やりたいのをやった方がいい。わたしはそう思う。(中略) なんか、勇気みたいなのをだしてあげたい。いまはいやになってしまっていても、たのしいことをしてみれば、きっと、またたのしい仕事がやりたいって思えるようになるかもしれないですね。」
2 相談(37才)
「大人になるにつれて、喧嘩しない様に、うまく付き合っていく様に…と考えるようにしている内に、仲良しの友達を作れなくなってしまいました。お喋りしたり、ちょっと遊んだりする人はいますが、なんとなく友達とは違う様な、壁を感じて寂しい気持ちになります。」
回答(9才)
「自分の言いたい意見を言い合って、それを言い合って、なかよくなれる。/ぼくはね、だれもね、友だちじゃないよ。ぜんいん、友だちじゃないよ〜〜!!/やさしくすんの。/人間生活してんだよ!」
3 相談(20才)
「やってみたいことはたくさんあるのに、やらなきゃいけないことが多いし、色々悩んでいる間に時間ばかり過ぎてしまいます。どうすれば時間を上手く使えるようになるのでしょうか?」
回答(7才)
「じぶんをおちつかせる。まずは深呼吸。じぶんをとにかくおちつかせて、それで、またやったら、いいんじゃないかな。」
4 相談(77才)
「母が99歳で老人ホームにはいり、「長生きなんてするんじゃなかった。殺して欲しい」と母が言います。」
回答(8才) 〈ミッション系の学校に行っていると推測される〉
「あの、神様が世界みたいのをつくったから、だから神様がくれた命を大切にしてほしい。/ちょっとでもお祈りをしてみれば、いいんじゃないかな。神様、お母さんが、死にたいと思わずに、神様がいつもそばにいて、神様のくださった愛と命を大切にしてくれますように。とかが、いいと思う。」
ほんの一部を載せてみたが、子供の答えは直情的、直感的なもののような印象を与え、決して理路整然とはしていないが、そこにこそ素晴らしさがある気がする。ある種の単純さ、素朴さも感じる。ことばで説得する以前のなにか根源的なものがあるに違いない。
そういえば、以前「全国子ども電話相談室」という超ロングのラジオ番組があったことを思い出した。これは、子供がもつ疑問にそれぞれの専門家・経験者の大人が答える、というものだったので、今回のものとは反対だ。内容はすっかり忘れてしまったが、それを聞きながら強く思ったことがある。
それは、“答えよりも問いのほうがはるかに賢い”という印象だった。問いには、本当はすべて本質的なことが含まれていて、深くまた多面的だ。答えは、その性質上、どうしても一面的になってしまう。答えはいつも、考え方であり、意見であり、一つの方向で考え出した視点だと思う。
そのような気持ちで、聞いていたことを思いだすが、先生方の愛情のこもった返答の口調も記憶に残っている。